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当店こだわりのオーダークラブ組み付けの流れ (アイアン編)
当店のオーダークラブとは、厳選された各パーツを細部に渡り徹底したこだわりで組み上げるユーザー様のオンリーワンクラブです。ただ一口にオーダークラブと言ってもピンキリで、組み付け次第によってクラブの良し悪しが決まってしまいます。特にアイアンセットとなるとドライバーやパターの様に単品物とは違い、全番手の統一感をキッチリ合わせなければオーダークラブの意味がないと思っています。
今回は当店推奨アイアン「ミステリー MC-12MF」と「MODUS³ TOUR115 10th ANNIVERSARY LIMITED」の組み合わせで #5 〜 PW 6本の準備から完成に至るまでの拘り製作をご紹介します。
1. 各パーツの確認 (重量)

オーダークラブでは先ずヘッド、シャフト、グリップの重量を確認します。 ヘッドに関しては僅かな重量差(一番重い物と一番軽い物の重量差が1g以内)は調整して(±0.1g)まで合わせられますが(写真下)、この段階で±2g以上の重量差がある様な場合、完成度が著しく低下してしまいますので、ウェイト調整等の小細工(数字合わせの組み付け)で妥協する事なく再度パーツの変更を検討する等の対策に入ります。

ヘッド重量は写真(上)の様に番手毎に+7gづつ等間隔フローしていくのが基本となります。近年のアイアンではPWに関して+8gとされる様になりました。(仕上りバランスの問題)

通常アイアンシャフトは番手別設計で作られており、長さが違えど全番手が同じ重量が基本です(40.0インチが100gなら37.0インチも100gと言う事です)。 先ずカット前のシャフト重量を計測します。 今回使用するシャフトは重量管理を徹底した理想的なセット(写真上)なのでヘッド重量共に公差が ±0.2g以内と完璧です。
ヘッド、シャフトの重量公差を揃えても、グリップ重量がバラバラでは全て台無しになってしまいますので、グリップも同様に公差の少ない物を選定して置きます。(今回はミッドサイズ使用の為、やや重めのグリップになります)
これで完成後の総重量も各番手毎に7g±0.2フローの範囲で仕上がる予定となります。

2 . パーツの準備が整ったらヘッド測定やシャフトトリミングの仮組みに入ります。
ヘッドにシャフトを挿入し、ヘッド内径に対しシャフト径が合っているか(地クラブの場合ホーゼル内径が細くシャフトが入りにくい物もある)、挿入長(平均30mm〜33mm程度)が全番手同じ位の深さなのか等を確認しながらシャフトのカット位置を決めていきます。
カット前にセンター挿入されたシャフトに対してヘッドのロフト・ライ角がカタログ値になっているかの確認をします。

特にライ角は組み付け後に合わせると最初にカットした長さ(製品長)が変わってしまう為、万が一ヘッドに狂いがある場合は写真(上)の様にこの段階で角度を合わせて置くと完成後に大きな狂いは生じないと言う事です。

ヘッドはロングからショートになるに連れホーゼルが長くなっていく物(写真上)がありますので、一番ホーゼルの短いヘッドを基準番手として長さを決め、他全番手も先にバットカットでステップやロゴの位置をキッチリ合わせていきます。ここをシッカリと丁寧に合わせていかないとステップやロゴ位置にズレが生じてしまいます。クラブを接着した後にシャフトカットした場合、保々間違いなくズレる結果となります。(カット前のシャフトは保々ピタリと合わせてあるのに対して、完成クラブになると何故かバラバラにズレてる物が大半なのは組み付け後のカット、もしくはホーゼル長変化の無視によるもの)

基準番手の長さが決まったら他番手は挿入長(今回のヘッドは写真上の32mm〜33.5mm)に合わせチップカット調整をしながら各番手毎の半インチ長(12.7mm)をキッチリ合わせます。ホーゼル長が長いショートアイアンになるに連れチップカット量が増え、シャフト長は短くなり重さも僅かづつ減っていきます。また7g間隔のヘッド重量であっても、8番以降はバランスが下がりやすい傾向なので、重量、バランス合わせは特に神経を使わなければなりません。
当店の接着長は奥までしっかり挿入します。(シャフトがホーゼル内先端に届かなくても、接着時にソケットとホーゼルに隙間が出ない様にとか、ウェイトを入れる為のスペースなのか28mm〜30mmで止めて接着してるメーカー等が多い)

ヘッド重量がキチン(±0,1g)と揃っているので、長さをピタリ合わせる事でバランスもシッカリ揃って来ます。(ヘッド重量差が不揃いな物は長さを合わせればバランスが狂うのでウェイト調整で誤魔化すか、又は長さ(半インチ長)を±微妙に変えてバランスを整えてる物とかも多々見受けられます)
スパイン調整を希望された方には、この段階でシャフトのスパイン位置を検出して向きを合わせていきます。(通常はシャフトのプリントロゴ合わせ)
3 . 接着作業
長さ、バランス、総重量が問題ない状態(写真下)でセッティング出来たら接着に入ります。 パーツの総重量に対して接着後の重量変化が均一になる様に計量した接着剤を塗布します。

接着前の重量から接着後の重量を計測。(増量分が接着剤の重量と言う事になります) これによりバランスも+0.3ポイント程度変化して来ます。

接着後の重量変化の他にシャフトの挿入ズレが起きてないかの確認もします(写真下)。 (万が一ズレて挿入してしまってもこの段階であれば硬化する前の微調整で整える事が出来ます)

問題無ければ丁寧に立て掛けて接着剤の硬化を待ち、予め用意して置いた番手毎の専用グリップを装着します。

両面テープの巻き方は螺旋巻き、縦巻き、数重巻き等ご依頼に沿った巻きを施し、360°スクエアに捩れが無い様キレイに挿入。(数重巻きの場合は重さが変わる為、仕上がりバランスも考慮した上で組み付けの段階でスペックを合わせます)
4 . 仕上げ作業
ソケットの輪郭をホーゼルに合わせて削り、アセトン液でキレイに仕上げます(写真下)。当店は保々ホーゼル輪郭ピタリになる様に仕上げます。ソケット素材のセルロイドは経年劣化で縮みやすくソケット輪郭がホーゼルより細くなって見栄えも悪くなる事から、やや太めに仕上げて置くと良いとされてますが、縮みがほとんどない場合もあるのでそこはクラフトマン技術の範疇だと思います(笑)。

これで作業は全て終了し、スペック測定を済ませて完成となります。 よくソケット仕上げやグリップ挿入等の技術を誇らしげに語られてる動画も拝見しますが、これはオーダークラブを手掛けるクラフトマンであれば誰しも当然な事で、吊るしの既製品との差別化をキッチリしたいと言う拘りからだと思います。
最後にヘッド、グリップにシュリンクを施してお客様の元へスペック表と共に納品となります。

ここまでザックリとした説明でしたが、当店ではここまでの作業を数日掛けて組み上げます。実際アイアンセットの6本や8本程度であれば数時間で組み上げる事は容易ですが、それでは細部にまでキッチリと拘ったオーダークラブを完成させる事が難しくなります。一つ一つの工程に時間を惜しまず丁寧に組み上げる事でクラブに疑問を抱く事のない最高の仕上がりとなるのです。また当店推奨シャフトでのリシャフトもバラしたヘッドを出来るだけ重量調整で整え、オーダー並みの完成度で対応出来ます。是非オーダークラブ体験をして頂ければと思います。