ブログ

Blog

シャフトスパインとは


2024.10.08| お知らせゴルフ実績

スパイン調整をして欲しいと言った依頼や問い合わせを頂くお客様でも、シャフトは真円の円筒だと信じていて、スパインの内容を余り理解されていない方が多数いらっしゃいます。

シャフトは製造工程の構造上、シートの巻き始めと巻き終わりが重なる事で厚みが生まれ、スパイン(背骨)部分が出来てしまいます。

上記の写真はシャフトのロゴプリントを真下(6時)の位置で合わせた肉厚変化の様子ですが、赤丸で囲った部分が特に厚くなっているのが解ると思います。 これがスパイン位置と言う事になります。

このスパインはチップ(先端)からバット(末端)まで存在します。

上記の写真を見るとシャフトの成形に使うマンドレル(芯金、芯棒)の入っていた内径は真円に近いですが、製品外径は楕円形(卵型)になっているのが解ると思います。

これらは組み付け前のシャフト単体であれば目視で確認する事や、ノギスで厚みを計測したり出来ますが、形になった既製品では見極める事は困難になります。

あくまでもカーボンシャフトでの場合ですが、スチールシャフトにもスパインは存在します。 鉄板を円筒に丸め、継ぎ目を溶接する事で硬い部分が出来てしまう訳ですが、カーボンシャフトの様にスパインが2箇所あったり、捻じれていたりする事がないので比較的位置を合わせるのが容易ではあります。ただ近年のスチールシャフトは最後にラベルを巻くタイプとは違いプリントロゴが主流となっています。 見栄えは良いのですが、このプリント位置がスパインとは限らないのが難点なのです❗️

そこでスパイン位置が実際はどの位置でどの様な数値の差が出るのかを測定機(センターフレックス計)を使って調べていきます。

センターフレックス計でシャフトの周方向(360°)の硬度を数ヶ所に分けて測定し、数値の高い部分(スパイン)を検出します。

手動式の簡易測定器でもある程度の予測は付きますが、形状(歪み)に左右される事でフレックス形で計測した程の正確な位置が解りづらい面もあり、歪み確認に使う事が多いです。

スパイン調整法も色々な説があり、ショップに寄って合わせる位置が異なるケースがあります。 背骨と言う名の通り6時方向に合わせトゥダウン現象を軽減させると言うケースや、9時(ターゲット)方向に合わせ強いボールにするケース、又はヘッドの重心角に合わせる挿入方法等と様々ですが、本来スパイン調整の一番の目的は振動(振れ)を安定させる事が重要なのです。

シャフトは軟らかい部分で振動しようとするので、挿入向きに寄って振動の挙動がグルグルと回転し不安定に動く事になります。    ※シャフトの歪みが大きい粗悪なシャフトは検出したスパイン位置でも多少不安定になる物もあります。

下の動画は持ち込まれたスパイン調整なしで組まれた実際の振動状態です。(振動計での確認なのでフェイス面を上に向け、ターゲット方向に対しての振れを確認)

次にリシャフトの際にスパイン調整を済ませた状態での振動です。

動画を比較してみると一目瞭然で振動(振れ)が安定しているのが解ると思います。

近年ピュアリング(動的調整)と言ったシャフトの振動(振れ)を安定させる位置を検出する技術が話題になっていますが、スパイン調整(静的調整)だけでもある程度の振動を安定させる事が出来ます。

スパイン調整の可否について

ではスパイン調整は必ずしもやるべきかどうか?は賛否両論です。 当店では希望されない限りは通常挿し(ロゴ向き優先)で組み付けを行っています。 その理由としてスパイン調整なしで充分に安定したシャフトはありますし、スパインを検出した位置で合わせた筈でも若干不安定なシャフトもあるからです。

カーボンシャフトには歪みがあり、スチールシャフトには曲がりがあるので、シャフトの精度(個体差)でも影響してくる事になります。

また見た目を気にする人や神経質の人はシャフトの向きがバラバラになった事で構えづらくなったり、同じセットのイメージが沸かないと言った弊害も出て来ます。

当店でオーダー頂く方に推奨しているシャフトは比較的歪みが少なく、通常に組み付けしても安定したクラブが多いです。

次の動画はスパイン無視で通常に見栄え良く組み付けたクラブです。

柔らか目のシャフト例 (ゆったり振動)

硬めのシャフト例 (高速振動)

上の2つの動画の様にシャフト硬度に限らず全く問題なく安定した挙動のシャフトもあります。またクラブの組み付け方(挿入技術の精度)でも完成度(仕上がり)の差が生じて来るのではないかと思います。

スパインの気になる方、興味のある方はお問い合わせ下さい❗️